ポロとラルフローレンは別物?似ているブランドの罠とロゴの真実を徹底解剖
なぜこれほどまでに、よく似た「馬に乗った競技者」のロゴマークと「POLO」という名称を使った服が溢れているのでしょうか。その最大の理由は、「ポロ(Polo)」という言葉自体が、馬に乗って行う伝統的な球技(団体競技)を指す一般名詞だからです。「ベースボール」や「テニス」という言葉を特定の1社が完全に独占できないのと同様に、ポロ競技をテーマにしたブランド展開は、商標の区分やデザインの細部が異なれば他社でも合法的に行えます。
1967年、アメリカのデザイナーであるラルフ・ローレン氏が、上流階級のスポーツであるポロ競技の気品にインスピレーションを得て、高級ネクタイブランド「POLO」を創業しました。これが現在のポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)の原点です。同ブランドが世界的な大成功を収めた結果、「胸元のワンポイント刺繍+POLOの文字=トラッドで高級感のある服」という図式が消費者の脳内に強く刷り込まれました。
このトラッドブームの潮流を受け、1970年代後半から1980年代にかけて、アメリカのポロ競技統括団体や、カリフォルニア・テキサス発祥のアパレル企業などが相次いで「POLO」を冠したブランドを立ち上げました。日本国内でもライセンス契約を結んだ商社やアパレルメーカーが、百貨店の催事場や総合スーパー、衣料品量販店向けに大量生産を開始したことで、消費者の間で「どれが本物のラルフローレンなのか分からない」という大混乱が生じるようになったのです。
もっとも顕著に現れるのが、圧倒的な品質格差と価格の違いです。本家のポロ ラルフ ローレンは、厳選された超長綿(スーピマコットン等)を使用し、洗濯を繰り返しても型崩れしにくい高密度な鹿の子編みや、立体的なパターンメイキングを採用しています。胸元のポニー刺繍ひとつとっても、わずか数センチ四方の空間に約980〜1,000針もの高密度なステッチが打ち込まれており、馬の筋肉の隆起や手綱の立体感まで表現されています。対して、量販店向けにライセンス生産される他社ポロブランドは、ポリエステル混紡素材による扱いやすさとコスト削減を最優先して設計されており、刺繍の針数も少なく平面的な仕上がりになっているケースが大半です。