田中裕子の若い頃の出演ドラマ&映画年表!名作で振り返る女優人生の軌跡
田中裕子のキャリアにおいて、1983年は決定的な変革の年でした。国民的ドラマとなったNHK連続テレビ小説『おしん』において、青年期から苦難を乗り越えて商売を切り拓くヒロインを熱演。平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%という驚異的な数値を叩き出し、その人気は日本国内のみならず、アジア、中東、南米など世界数十カ国に波及しました。「忍耐と慈愛」の象徴として世界中から愛された彼女の笑顔は、多くの人々の心に焼き付いています。
しかし、田中裕子の凄みは『おしん』の国民的善人像にとどまらなかった点にあります。同年公開の松本清張原作映画『天城越え』(三村晴彦監督)では、旅の少年を惑わす妖艶で孤独な娼婦・大塚ハナ役を怪演。湿り気を帯びた眼差し、素足の爪先にまで宿る情念、男たちを手玉に取りながらも宿命に抗えない哀哀としたリアリズムは、国内外の映画批評家を驚嘆させました。
結果として、第7回モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞したほか、ブルーリボン賞、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞など、国内の主要映画賞を独占。ひとつの型にはまることを拒み、聖女と悪女の振れ幅を同一年に完璧に演じ分けたことで、彼女の評価は神話的な領域へと達したのです。
Tags: