円城塔『これはペンです』は何が凄い?芥川賞候補作のあらすじと難解さを徹底解説
インターネット上のレビューや短文解説では、「理系のインテリが書いた理屈っぽい難解SF」「難解すぎて一般読者を拒絶している」といったレッテルを貼られがちです。しかし、これは作品の真の味わいを見落とした誤解といえます。
『これはペンです』の底流には、乾いたユーモアと、奇妙なノスタルジーが漂っています。実体としての叔父が消え去り、送られてくる膨大なテクストと向き合う語り手の姿には、不器用な家族関係の距離感や、不在の人間を思慕する哀切な詩情が宿っています。決して冷徹な論文のような機械的散文ではなく、日本語のリズムを極限まで研ぎ澄ませた、極めて純度の高い文芸作品なのです。
また、自伝的アプローチを試みた長編『プロローグ』などへ連なる系譜として読むことで、「自己」という虚構を言語でどう規定するかという作家の一貫した格闘が立体的に浮かび上がってきます。
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